Insect record(昆虫記)

2025.10.03  地域の生物調査(アカボシゴマダラの幼虫発生状況)を行っていた際のことです。

中腰で小さなアカボシゴマダラの幼虫を探し、100マクロで写真撮影を続けていたら腰がつらくなってきました。少し伸ばそうとして見上げた先・・アカメガシワの葉にオレンジ色の昆虫を見つけました。

目いっぱい背伸びして写真を撮りモニターで拡大すると、図鑑で見たことがあるカメムシです。でも、こんなところに居るのは変です。南方系のアカギカメムシは、南西諸島か沖縄辺りが生息地のはずです。近年、九州や四国で定着したように聞きますが、まさか中濃地方の地元の町で見つかるとは思ってもみないことです。確認のため、昆虫の専門家のT先生に写メを送って返事を待ちました。

標本も必要だと思い捕獲して帰宅後、日本原色カメムシ図鑑で再確認したのです。T先生からも「間違いないです。」と返信がありアカギカメムシと確定しました。

アカギカメムシは、ほぼ無臭でアカメガシワを食草としています。今のところ、作物に対しての害は知られていないそうです。少しホッとするところですね。

本種は、自力で飛来することができるため本州でもたまに目撃や採集をされるようです。自力飛来と言うことで外来種とならず、「飛来種」という扱いになると言うことです。

2025.8.27    写真は、日本に元からいるゴマダラカミキリです。(標準的な個体)

最近、ツヤハダゴマダラカミキリ(特定外来生物種に指定)という中国原産のそっくりさんが侵入し、いつも疑いの目で見ています。両種の違いは、胸部にある白紋と上翅の肩の辺りにあるツブツブが有るか無しかで判断します。

ゴマダラカミキリは、胸部の白紋と上翅のツブツブが有ります。

カミキリムシは、樹木に対しての害虫です。その意味では「両種とも同じだよ」というように思われますが、従来から生態系の一部であったゴマダラカミキリの場合と、侵入者のツヤハダゴマダラカミキリでは意味合いが違います。侵入者は侵入者でしなく、生態系の一員として受け入れはできません。

先日のことですが、東白川村で白紋の非常に少ない個体を見つけました。これは怪しい奴ではないかと思い、捕獲して自宅に持ち帰りました。詳しく調べてみましたが、上翅のツブツブは顕著でしたので在来のゴマダラカミキリと判断しました。

このように、個体差というのも有るのでより慎重に見分けることが大事になると思いました。

2025.7.29

エゴの実がたくさん生りました。毎度のことですが、エゴヒゲナガゾウムシを探します。

体長はわずか数mmで顔面が白く見えます。また、オスの頭部側面が突出し、複眼はその先にあります。ウシに似ていいることから、ウシヅラヒゲナガゾウムシなんて呼ばれることもあるようです。(写真)

この時期、オスとメスが寄り添うように枝に下がったエゴの実にとまっており、次世代を残す繁殖行動(交尾から産卵)をしているのです。エゴの実をよく見ると、一個に一つ1mmほどの茶色い点が目立ちますが、これが産卵された跡です。

幼虫は、種子の中身を食べて育ちます。

ヤマガラがエゴの実を足に挟み、くちばしでコンコンと突いている姿をよく見ますが、ゾウムシの幼虫を割り出して食べているのではないか?という説もあるようです。

エゴの実には、独成分であるサポニンが多く含まれ、これを利用して魚を捕ることも昔はあったようですが、現在は禁止されています。

2025.7.10

赤、黒、白の3色・・この派手な昆虫は何かというと、半翅目ハゴロモ科のシタベニハゴロモの幼虫です。中国原産で、近年、国際的な物流により韓国やアメリカ等にも侵入しています。

多くの樹種(植物)の幹に口吻を刺し吸汁するので、いずれ農作物にも被害が出るのではないかと危惧されています。近辺では、ナシやブドウなどの果樹栽培が行われており、注意が必要だと思います。

友人が、加茂地域内でも昨年に目撃したという情報提供があり、もしかすると増えているんじゃないかと思い調査に出かけたのです。

この辺りには、若いニワウルシ(シンジュ)が多く生えており、比較的調査がやりやすそうです。とは言っても、35度を超す猛暑の中で1本1本丁寧に見て回るのには、歩いて1時間半を要しました。

間も無く成虫も出現してくる時期になります。次の調査も猛暑の中行うことになるでしょう。

2025.7.7

メダケ(女竹、おなご竹)の葉に黒いものが・・よ~く見れば、ササキリの幼虫です。

この時期になると、よく目にする可愛らしい生き物です。

触角は体の何倍もあり、赤い頭に黒い胴体が特徴的のユニークなキャラクター的容姿です。

これだけ特徴がはっきりしていると、他のキリギリスの仲間の幼虫と間違うことがないですね。

昨年の秋に産卵された卵からふ化し、ようやく私たちが目にする地上に現れたところです。卵の期間が長いですね。

これから何回か脱皮をして成虫になるのですが、これを不完全変態と言います。さなぎの期間はありません。

幼虫の期間は、逃げ回らずじっとしていてくれるので、間近まで接近しての撮影が楽です。

2025.7.1   モートンイトトンボ(写真は♂)

先日、白川町黒川まで「田んぼの学校」の下見に行った時でした。

田んぼの土手と畔の間に細い水路があり(水は溜まっているが流れがない)、なにかが横切った気がしたので追いかけると、モートンイトトンボでした。よく見れば♂3頭ほど居て、未成熟ながら♀の姿もありました。

加茂地域では、美濃加茂市、富加町、坂祝町、七宗町、八百津町で棲息を確認していました。

今回、白川町では初確認です。コツコツと調査を続けて行けば、まだまだ出てきそうです。

キクスイカミキリです。

背が伸びてきたヨモギの先の方が、うなだれるように萎れているのを見かけるようになりました。

犯人は、このカミキリムシです。大きさは10㎜ほど、胸部に赤い斑点が目立ちます。

この時期(5~8月)が繁殖期で、産卵の際にヨモギの茎の維管束を切断してしまうのでそれより上の部分に水が行かず、枯れてしまうのです。キクスイは、「菊吸い」の意味があるのでしょうね。

各地の菊花展に出品する菊をたくさん栽培されていた知人は、こいつ(キクスイカミキリ)は菊の大敵だ!と言って見つけ次第駆除していました。

この写真を撮影した場所でも、付近の何本かのヨモギが萎れて枯れかけていました。

写真は、チャバネアオカメムシを捕らえたワカバグモです。

こんなシーンを過去に3度ほど見ていますが、クモに悪臭攻撃は効果が無いのでしょうか。

パクチーやニラやニンニク、セロリ、ショウガ、はたまたクサヤなどの香りの強い食物を好む御仁もあると聞くので、ワカバグモはチャバネアオカメムシの臭いを好むのかなあと思ったりしたのです。

それだけではありません。写真に写っているハエ(種名はわかりません)6匹を、チャバネアオカメムシの悪臭が呼び寄せたように思えるのは気のせいなのでしょうか。

兵庫県の中学生が、大学や企業と共同でカメムシの臭い成分から香水を開発したというニュースがありました。カメムシの種類によっては、甘い良い匂いを出すものがいるようです。

カメムシ=臭い奴・・と決めつけてはいけませんね。

困った昆虫・・ヒメマルカツオブシムシ

成虫は、主にキク科の植物の花に集まり花蜜や花粉を食べる2.5mmほどの大きさです。幼虫は、4mmほどでずんぐりしており、体には剛毛が生えています。この時期、いつの間にか室内に入り込んで産卵し、ふ化します。

幼虫は、私たちのスーツやセーターなどを食べ穴を開けてしまうのです。カツオ節虫という名の通り動物性のたんぱく質を好み、昆虫標本もターゲットになったりします。衣類のタンスにも標本箱にも防虫剤が欠かせません。

写真は、ヒメマルカツオブシムシの成虫です。部屋のカーテンを這い上がっていたのを捕獲しました。

大きさが分かるように5mm方眼の上で撮影しました。

2025年 4月27日

観察会仲間が、カメムシの幼虫じゃないかな?というので写真撮影・・幼虫は難しくて宿題になりました。

帰宅して「日本原色カメムシ図鑑」で調べたのですが、これと言って該当する写真が出てきません。

ネットで「カメムシの幼虫(画像)」を検索していると、クヌギカメムシが出てきたのでさらに検索。

幾つかの画像を見比べて、クヌギカメムシでほぼ間違いないだろうと判断したところです。

幼虫も齢数によって変化をするので、なかなか一筋縄ではいきません。

でも、こういった「調べる」という作業は嫌いではないので、いつも楽しんでやっています。

そして、最後の手段は飼育なんですが、この幼虫はスチール製のパイプ手すりにいたので、ホスト植物がいったい何なのかという新たな悩みができてしまうのです。

2025年 4月25日、ヤマサナエの羽化途中に出会いました。

実は、このヤマサナエにもそっくりさんがいるのです。そのそっくりさんは、キイロサナエというサナエトンボ科の同じ仲間なのです。見分けは、ヤゴを見比べてみると第9節の幅が広い方はヤマサナエ、狭い方はキイロサナエです。成虫は、副性器の形や尾部付属器のわずかな違いを観察してみるのが大事です。

近隣には、この2種が見られるところがあって写真だけでは判別に迷うことが多いのです。車から捕虫網を持ち出し、捕獲して確認するのが必須となるのです。

実を言いますと、もう一つのブログ「シン・むしの知らせ」がサービス終了となってしまうので移動を考えていましたが、ここに新しいページを設けて新装開店といたすことになりました。

下の写真は、2015年 7月 3日に撮影したサツマヒメカマキリです。

当初は、ヒメカマキリと記録していたのですが成虫の出現時期が合わず、色々調べていくうちに真夏に成虫が見られるのはサツマヒメカマキリの方であることから、調査記録を修正したいきさつがありました。

生物の同定に際しては、より慎重にならなければいけないことを教えられたのでした。